2016. 08. 17  
今年の夏の長期山行は、飯豊でも悪渓として知られる北股川を遡行した。当会では完全遡行はほぼ無理だろうと思いつつも、何とか今回のメンバーなら入り大石沢までは行けると見込んで、実施に踏み切った。
結果は、一名が不注意により怪我をしたため、気力体力が尽きたもう一名ともども、入り大石沢から登山道まで送った後、単独で遡行を継続したが、崩壊真っ最中の雪渓と登れそうもない滝が連続するゴルジュに阻まれ、延々と高巻きを続けるうちにタイムアップ。最後は下山連絡をしないと遭難騒ぎになってしまうので、(沢床には)戻らぬ人となって、廃道となった胎内尾根ルートから登山道を経由して下山した。
このような半端な状態で終わらせては心残りで仕方がない。近いうちに「続き」をやるだろう。

11日
今年の夏は、かなり水量が少ないように見受けられる。(前回見たのが、梅雨も明けきらぬ時期だったので、融雪と降雨のため水量が多かったので、そう見えたのかもしれない。)天気も非の打ちどころなく、遡行するにはまたとない好条件だ。
北股川に架かる吊橋の近くの、残置トラロープを利用して沢床に降りた。
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開けた河原が続くが、右岸に5段50Mの滝を懸けて流入する枝沢を見ると、両岸に岩壁が切り立ってきて、観音滝が現れる。
フリーなら左壁を登れなくもなさそうだが、少し戻ったところから踏跡を辿って巻いた。踏跡があるということは、まだ釣り師の領域ということだろう。
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観音滝を巻くと、開けた河原が続く。青く澄んだ美しい水の流れに、感嘆の声が上がる。
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彦兵衛沢を分けると、ゴルジュ帯が始まる。3Mナメ滝を過ぎ、1Mの落ち込みの上にワンポイントのへつり泳ぎを要する釜がある。トップ以外はできるだけ楽をして体力を温存する作戦なので、後続はザックピストンだ。
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もう一か所泳いだ後、一層両岸の壁が高くなってくると、青滝が見えてくる。前衛の6M滝の左壁の上で、先行パーティのトップが高巻きルートを切り拓いているところだった。我々は、6M滝下から左岸の草付スラブに取り付いて、少し登ったところで右へ斜上して、そこから直上したが、先行パーティも左へ進路を取っていたので同じところにたどり着いた。連結したロープの結び目が中間支点に到達してしまい、意思疎通ができずに無駄な時間を費やしてしまった。
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辿りやすいところを行くと、懸垂せずに沢床に戻れた。さっきまでのゴルジュが嘘だったかのように、平穏な雰囲気だ。
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再び壁が切り立ってくるが、悪場はない。
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壁が低くなってきて、V字の草付となり、もこもこした赤い岩盤のバンドが出てくると藤十郎沢出合が近い。
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藤十郎沢は三段の滝を懸けて右岸から流入している。そろそろ幕場を得たい時間帯だ。出合の下流に適当な河原があったが、もう少し進みたかったので、幕場を探しながら先へ進む。
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出合を過ぎると両門の大岩があり、ここから再びゴルジュとなる。両門の大岩の左側の壁には、お地蔵様を祀りたくなるような岩屋があった。
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ゴルジュの入口は狭いが、先が明るいので、険悪なゴルジュにはならなそうだ。
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谷が狭まっている区間はそれほど長くなく、少し開けてくる。河原を整地してテントを張った。
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12日
幕場の先はすぐに狭まったゴルジジュとなる。二日目は早朝から泳ぐことになる。
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続く落ち込みの左側に取り付こうとするが、なかなか取り付けない。左壁を2Mくらい登ったところをへつって、後続を引き上げたが、トップで行ったTさんはここで粘りすぎて体が冷えてしまい、この後すっかり動きが鈍くなってしまった。
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ゴルジュはすぐに右に曲がり、そこには短いながらもブロックのような厚い雪渓が残っている。手前の淵は右壁をへつって、ナメ滝の上から後続をザックピストンで引き上げる。雪渓の下も釜になっていて、右壁をへつるが、ここで事故が起きた。二番手で来ていたJちゃんが、岩盤に載っていた石を岩盤の隆起部と思って手をかけて体重を預けたために釜に転落した。何事もなかったように泳いで落ち込みに取り付き突っ張りで登って行ったので、無事かと思ってほっとしていたが、実は足をどこかに打ち付けていたらしい。
体が冷えたTさんはへつることもできないので、ロープで引くが、落ち込みを這い上がれず、雪渓の下でもたつく。何とかホールドを指示して登らせることができて、ほっとする。
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堆積したスノーブロックを縫って越える。
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陽光差す小さな河原があったので、まだ思惑の半分も進んでないが、ここで日光浴してもらうことにした。
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遡行を再開すると、すぐに登れない6M滝に遮られる。少し戻って、右岸の草付スラブを登って高巻く。
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懸垂下降で沢床に戻る。
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次の4M滝も登れず、左岸のルンゼに取り付いて高巻く。懸垂2ピッチで沢床に戻るが、2ピッチ目の支点には残置シュリンゲがあった。
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今度はやや開けた感じの渓相が続く。
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丸太を利用して釜を渡って滝を左から巻く。
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しかし、直ぐに大きな釜を擁する滝に阻まれる。写真を見る限り登れそうな気がするが・・・。
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丸太の滝の下まで戻って、左岸から巻く。上流に懸るいくつかの滝もまとめて巻いて、最後はやっぱり懸垂下降で沢床に戻った。
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沢に戻って、ゴーロの4M滝を越え、右側に水たまりがある滝をショルダーで越えると、ゴーロのゴルジュが続く。右へ2本の枝沢を分けると、左側の青い岩盤と右側の黄色い岩盤に挟まれた滝が懸る。どちらからも斜上できるが、右壁を行った。
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次の滝を手前から左のバンドから越えると、入り大石沢出合となる。
出合の先には彦兵衛前滝が懸っていて、少なくとも本流からの高巻きはかなり戻らないと無理。時間も押してきているので、入り大石沢を登ったところに幕場を求めることにした。
入り大石沢の最初の8M2段ナメ滝は、上段でハーケンを打ってスリングをアブミにしてA0で登って後続を引き上げた。
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滝上に小さな河原があり、そこを整地してテントを張った。
滝上からは彦兵衛前滝を一望することができる。
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13日
Jちゃんの足がかなり腫れており、本人も足先に力が入らず厳しい高巻は無理だと言う。Tさんも気力体力ともに尽きてきたので、入り大石沢を遡行して、二人を登山道まで見送ることにした。

幕場からすぐ先には5MCS滝が懸っていて登れないので、手前の左岸ルンゼから高巻いて3ピッチの懸垂で滝の30Mくらい上流に降りた。830M、左から枝沢が入り、沢が右へ曲がっていくところにロープと行動食以外の荷物をデポして、遡行を継続する。
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入り大石沢にはいくつか4~5Mの滝がかかるが、いずれも登れるか簡単に巻けるので問題ない。5M、4Mと連続する滝を、左岸ルンゼから巻くと8Mの滝が懸る。ここは右側の斜上バンドをスリップに気をつけながら慎重に登り、頼りない灌木に自己確保を取って後続にロープを出すが、二人とも何でもなさそうなところで足を滑らせる。やっぱりエスケープして正解だったようだ。
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遡行も遅々として捗らず、11:30ようやく登山道に出た。
登山道を登ったり下りたりして、上り詰めた位置を確認してから、一人入り大石沢を下降して、荷物を回収する。
830Mの枝沢を少し登ったところから樹林帯に取り付き、斜面をトラバースするが、なんども無木立の壁に遮られて、結局尾根上980Mまで追い上げられる。そこから対岸に二条の滝を懸ける枝沢のやや上流に向けて伸びている不明瞭な尾根を下降していくと、石門のような壁から水流を放出する滝が見えてくる。大高巻きとなったが、懸垂することなくこの滝の上流に降りることができた。
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降りた先は、違う沢になったかのような広河原となっており、幕場天国だった。
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河原の奥には巨大なスラブ壁が聳えている。
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岩に挟まれた平坦なところをところを軽く均して、ツェルトを張った。
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14日
右はスラブ壁、左は巨岩のゴーロで、左に屈曲してから徐々に右へカーブしていく。滝も懸っているが、水線から離れた広いゴーロ帯を大岩を縫って遡行していく。
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次第に両岸の壁が立ってきて谷幅が狭くなってくる。
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早速登れない滝に遡行を阻まれる。
20Mくらい手前の左岸のガレルンゼに取り付いて、急峻なブッシュ帯をトラバースして、この次の滝の落口に懸垂2ピッチで降りた。
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それほど圧迫感はないが、エスケープするのは厳しい壁が続く。
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崩落した雪渓が再びブリッジになっている。その奥には原型をとどめた雪渓が架かる。
手前のは左をすり抜け、奥のやつは短いので潜って通過する。
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短い雪渓を抜けると、雄大な岸壁の広場という雰囲気の中、鮎倉沢が右手前に戻るような方向に分かれている。
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本流には樋状の12M滝が懸る。さらにその上にも2条の滝と、12M(くらい)の滝が続く。このうちのどれか、あるいはこれらをまとめて彦兵衛滝というのだろう。出合の正面スラブを登って滝を巻く。
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巻いている途中で、先に穴の開いた雪渓が見えてきたので、雪渓上に下降できるところまで巻いてしまおうと登っていくが、雪渓の右岸側が見えてくると取り付けそうなので、引き返して、奥の12M滝の落口付近に懸垂下降した。
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雪渓はしばらく続く。先は右へカーブして見えない。このまま雪渓が続いていればいいと思ったが・・・。
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雪渓の厚みは20M以上ありそうだ。ということは、その厚みに見合った空洞があるはずで、崩壊したら絶対死ぬだろう。
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雪渓の末端が見えてきてしまった。今乗っている雪渓から剥離した塊が傾いている。雪渓の切れ目の先端には穴が開いているところがあることから、かなり薄くなっていることが窺える。
こんなろころに長居は無用、引き返して高巻きに取り付けるところを探す。
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30Mくらい戻ったところで、小さく尾根状に張り出しているところから右岸の草付スラブに取り付きブッシュ帯を目指して登る。雪渓がこの高さまで来ていなかったら取り付けなかったかもしれない。ちなみに、さっきの剥離した雪渓の先は狭くて深い険悪なゴルジュで、すぐ先には崩落後のブロックが散乱し、さらにその先には全く登れそうもない滝が懸っていた。
高巻き開始後、谷では崩壊音が連続し始めた。
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見えていた滝の先で、ゴルジュは右に曲がり、やはり登れそうもない滝が三つ続いている。このうちの二つ目の滝の釜に、三国沢が合流している。
水取をしておらず、直ぐにでも谷に戻りたいが、トラバースしていくと、無木立の斜面に遮られ、登ったり下りたりを繰り返す。
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ようやくロープが届きそうなところを見つけると、崩壊中の雪渓がしきりに崩壊音を響かせていた。
ここもあきらめて登り返す。
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この後、三郎沢に下降できないかと、ここまでと同様な苦しいトラバースをするが、ブッシュの生え際が谷底から遠くて降りられない。三郎沢の先の雪渓は何とかなりそうだが、三郎沢出合のすぐ先には登れるかどうか、巻けるかどうか微妙な滝が懸っている。ただ、谷は浅めのV字になってきて、開けた感じになっている。
結局このまま尾根まで詰めることにした。
二ノ峰の南方1469M目指して登っていく。主尾根合流手前で、尾根上の小さなコル状のところにマットを敷きツェルトを張ってビバークすることにした。食料からわずかな水分を補給して耐え忍ぶ。
蚋が異様に多いが、吊るしただけのツェルトにもかかわらず、ちょうどよくシュラフから出た顔の部分をドーム状に覆ってくれて、寝ている間は蚋に刺されずに済んだのが救いだ。
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15日
1469Mのやや南で主尾根に合流する。そこから、一旦三郎沢より傾斜の少ない胎内川の源頭に下降して水を得ることにした。標高差約150Mくら下降したところに湧き水帯があり、約20時間ぶりに水を口にすることができた。
30分ほど休憩しながら体内とペットボトルに水分を補給し、涸窪を登り返し、尾根を登っていくと、約2時間で二ノ峰山頂に出た。
籐七ノ池を経て、昨年刈払された廃道を辿って門内岳を目指す。
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1180Mで沢が直角に曲がった先を見下ろす。手前の滝が微妙だが、その先は問題なさそうだ。
ここから下山遅延を連絡できるのなら、沢に下降してこの先を遡行したかったが・・・。
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門内岳付近は仮払いされておらず、踏跡をトレースしきれなかった。しかし一昨年以前よりは格段に楽にたどり着ける。二ノ峰から門内岳は疲れた足取りでも2時間50分。
門内小屋に立ち寄って昼食を摂り、門内清水を汲んで下山にかかる。
小屋から中峰までは一時間もかからない。中峰から湯の平温泉は下りとはいえ長い。
湯の平温泉で一服し、林道を歩いているうちに暗くなり、雨まで降ってきた。最後はライトを灯しながら土砂降りの中、加治川治水ダムの駐車場に帰着した。

雪渓が少ない年は、登れない滝が連続する狭く深いゴルジュが露わになり、高巻きに取り付くポイントも限られ、雪渓の高さによってはそれすら叶わないかもしれない。雪渓のない北股川は飯豊川本流以上に難しい沢かもしれない。
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